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最近はミソフォニアのことばかり書いています。もうミソフォニアブログです。

防音対策日記

こんにちは

お久しぶりの更新になってしまいました。harukamです。前記事、コメントや引用をして下さった方が多くいらっしゃって飛び上がるほど嬉しかったです。前回よりも前の記事にコメントくださった方もいらっしゃり、これも大変嬉しかったです。

近況

ということで.. まず近況について書きます。

引っ越し先での苦痛

前記事を書いたのちに引越しをしたのですが、どこかの部屋から、ほぼ毎日朝から夜まで断続的に物音がする状態です。越してきてすぐにその物音が気になり始めてしまいました。突然に大きな物音が聞こえてくるので、驚いてしまい心臓のリズムが崩れてしまうのです。

その音がどこから聞こえてくるのか確実にはわかりません。以降ではとりあえず、単に「隣人」としておきます。

一番辛かったことは、外出時にずっとイヤホンをつけて耳に負担をかけながら外界の音を締め出した生活をしているのに、それが家の中でも常に必要になってしまったこと。
さらには、聞こえる物音はくぐもっていて、響いて聞こえる重低音なので、私のイヤホンによる音の上書きでは対処しきれないことでした。

それから気が滅入ってしまい、軽く響く程度の物音でも嫌な予感がして腹痛が起きてしまう有様です。これによるストレスが原因だと今では思っているのですが、異常なほどの不正出血が起きて病院にも通ったりもしました。

「うるせー」と叫んだり力任せに物に当たったりしたこともあり。家に一人でいると、物音が聞こえてしまう度に自分をどんどん制御できなくなっていくのがよくわかります。私が過敏になっているだけだと思い、たとえ音が聞こえても受け流そうと何かに集中しようとしても、最終的にそれができずに怒りが爆発してしまいます。力任せに怒るのも感情のままに泣いて暴れるのも、とてもしんどいです。

しかし、深夜になって音が静かになると冷静さが戻ってきます。相談相手になってくれた友人に宥められ、「再び引っ越しても同じ問題はやってくると思うし、手札が尽きるまではこちらが対策をするべき」と言われ、イヤホン以外の防音グッズを試すことにしました。

防音グッズ

試してみた防音グッズを私基準で評価してみました。以下の3点に注意してください。

  • 1)イヤホン、4)ヘッドホンは音楽やノイズを流して、音上書きグッズとして使わないと効力ゼロです。デフォルトの再生音量は「人に後ろから声だけで話しかけられても気づかないくらい」なので、一般的に大きいかもです。
  • 評価は感情反応がでないかどうかで判定しています。つまり、音が全く聞こえなくなるかどうかです。
    • ○ : 完全に防音できた
    • ▲ : (音上書きグッズに関して)再生音量を常識的な範囲で最大限に大きくすれば、完全に防音できる
    • △ : (音上書きグッズ以外に関して)音源との間に距離や壁があれば、完全に防音できる
    • × : わずかにでも聞こえてきてしまう
  • 自宅・学内・駅構内・バイト先などなるべくいろんな場所で検証しましたが、全て私個人の状況で防音性を評価したものなので、全く一般論ではないです。
  • 「咳払い」の項目は、かなり激しい咳払いを想定しています。
番号 グッズ名 音の種類 利点 欠点 合う状況
鼻すすりキーボード音 重低音咳払い
1イヤホン × 軽い・着け外しが楽 重低音に弱い 部屋に響かないタイプの音を防ぎたいとき
2耳栓 軽い・近ければ会話可能 近くの物音はくぐもって聞こえる 音源との間に距離や壁があるとき・発生する音が限定的なとき
3イヤーマフ AVANTEK 34dB × × 音の大きさが低減 些細な音以外は完全防音されない 騒音を低減させたいとき・耳栓の効果が不十分なときに併用
4ヘッドホン ATH-WS550 高音質で良い気分 肩や後頭部が痛くなる 身動きが少ない場面

1) カナル型イヤホン

まず、私が今までずっと付き合ってきた防音グッズです。よく失くすので、1000円付近の安物しか使いません。なので、特別な機能は無しです。

このブログを読んでくださった方にホワイトノイズの存在を教えて頂いてからは、ホワイトノイズをかな〜り重宝しており、とても助かっています。気分の良いときは、音量大きめのホワイトノイズだけを流して生活しています。音楽を聴くときは、ホワイトノイズと一緒に音楽を聞きます。ホワイトノイズと一緒だと、イントロが静かな曲・間奏に静寂が訪れる曲も安心して聞けます。

これにより、鼻すすりや咳・キーボード音などほとんどの生活音は上書きできました。しかし、先述の通り、隣人の部屋から響いて聞こえる重低音は完全には上書きできませんので、ミソフォニア的に無意味です。常識外れなほどに音量を大きくすれば別ですが、そうすると耳が辛いです。

2) 耳栓

数年前にイヤホン以外の手札がほしくなり、何種類か耳栓を購入したのですが、ほとんど効果がありませんでした。再挑戦しようとして今回分かったことなのですが、そもそも耳栓が適切に耳の中に入ってなかったようです。

私の外耳道は耳の穴が小さい上に、中でうねるように曲がってるらしいです。友人に確認してもらって初めてわかりました。「なにくそ〜」と思って、なんとなく怒り任せに耳栓を極限まで細く丸めて高速に回転させながら耳の奥に猛スピードで突っ込みますと、漸く入りました。装着が成功する割合は3割ほどです(トホホ)

なかなかの防音感です。隣人の部屋から聞こえていた物音は全く聞こえてきません。至近距離で話せば、会話もできますし、室内にかかる放送などもちゃんと聞こえます。裏を返せば、聞きたくない音が聞こえてしまうときがあるということです。例えば、すぐ近くの人がドタドタと物音を立てれば、その音はこもって聞こえてきます。隣人の音も多分、壁がなければ聞こえていると思います。なので、音源がある程度離れていたり、家の中で独りでいる状況には最適です。

一番良かった耳栓は、いろいろなサイトが絶賛しているMoldexのカモプラグ。これで隣人の重低音は今のところ大丈夫です。サイズが大きいからこその防音性なのかもしれませんが、大きいために耳が圧迫されて痛くなるので、装着は4時間ほどで休憩が必要になってしまいます。

余談ですが:耳の違いを指摘してくれた友人に「こんなに耳の形が違うと、音の聞こえ方も違うのかもね。響いて聞こえていたりとか」と言われ、「ウゲー」と思いました。。先天的な原因は個人的には認めたくないのですが、他のミソフォニアの方々はどんな耳の形をしてるんだろうと気になりました。

3) イヤーマフ

AVANTEK 防音イヤーマフ 遮音値34dB

安いからかもしれませんが、イヤーマフ単体では私にとってあまり効果がなかったために使っていませんでした。音の大きさは低減されますが、無音にはなりません。けれど、耳栓とペアで使えば鬼に金棒です。耳内部と耳の周辺が音のない世界にいるような感覚になれて、精神的にとても安定します。

1)の「イヤホンでホワイトノイズと音楽を再生」とイヤーマフとの組み合わせを試してみましたが、これでは重低音は完全に防げませんでした。とても小さくはあるのですが、遠くの方から物音が反響するように聞こえてしまって、返って聞き耳を立ててしまいます。

4) ヘッドホン

audio-technica ATH-WS550

3)の耳栓と組み合わせてみたくて、ヘッドホンをビックカメラで物色していたとき、ATH-WS550に出会います。サンプルを装着して、音楽を試聴。すると、なんだか変な感じがします。やけに音声が遠くでくぐもって聞こえるような感覚。音の振動を強く感じます。看板には「臨場感あふれるハイレゾ音源」「圧倒的重低音!」などの宣伝文句が書いてありました。

しかし私はAV機器には疎いので、その聞こえの何が良いのかさっぱりわかりません。ただ、5000円付近である上に、耳に当たらないくらい厚いクッション部分が気に入りましたので購入。どうせ耳栓と組み合わせることになると思っていたので、ヘッドホン自体の防音性には特に期待していませんでした。

帰宅後、早速ヘッドホンを装着して音楽を聞いてみました。直後、同居人が「今大きな物音がした」とジェスチャーをしてきたものの、私には全く聞こえません。まさかの出来事に、私は大喜び。もしかするとですが、「圧倒的重低音!」が隣人からの重低音をかき消すのに相性が良かったのかもしれません。(この理屈で行くと、重低音イヤホンもよかったりするのですかね..)

おそらく音質もそれなりに良いので、好きな音楽を聴いたりすると気分も高まります。ドラクエのオーケストラ音楽を聞いたときは高揚しました。苦手な音により不快になったときの回復剤としても良いです。

それでも長時間の視聴は無理でした。3時間ほどで頭のてっぺんが痛くなってしまいます。最近ではつけ始めから痛くなってくるので、後頭部にハンカチを挟んでいます。ですが、耳栓の他に重低音を防ぐ手札を見つけられたのはラッキーでした。

3)の耳栓と、このヘッドホンを組み合わせて音楽を聴いてみます。耳栓の防音性により、音楽をそれなりの音量で流しても、遠いところから主要な音だけが聞こえてくるような感覚です。特に限界なときに、かつ音楽を聴いて気分を高めたいときは両方同時に使うと良さそう。

備考#1 音楽プレイヤーに関して

1)イヤホン 4)ヘッドホン のような音楽やノイズをかけるために音楽プレイヤーを必要とする防音方法について補足です。軽量・みための自然さなどの点で良いなあと思ったもの・気になっているものを書いておきます。

  • クリップ付き小型プレイヤー
    • AGPTEK MP3プレイヤー を愛用してます
    • 23g と軽い上に襟に挟めるので、移動時が猛烈に劇的に楽です
    • bluetooth 搭載なので、左右分離型ワイヤレスイヤホンを使用可能です
      • 充電が必要なので、有線イヤホンを使いたくないときだけ使います
      • 講義などで端の席に座り、端側ではない方の耳だけにイヤホンをつけてノイズを流すと、目立たずに症状を低減できます
  • プレイヤー一体型ヘッドホン・イヤホン
    • 試してませんが、単体でノイズ生成器(後述)として使えそうで気になってます

備考#2 ノイズを生成する補聴器について

Misophonia Institueのサイトで、ホワイトノイズを生成するだけの補聴器があることを初めて知りました。これは一般的に耳鳴りの治療のために使う機器なようですが、サイト曰く、装着してもほとんど目立たないためミソフォニア対策としても評判が良いらしいです。用途が耳鳴り治療でない人間に日本でも売ってくれるかどうかはかなり怪しいのですが、調べた内容をまとめます。

  • TRT 療法
    • 耳鳴り治療方法の一つ
    • TCI と呼ばれる補聴器の形をしたノイズを生成する機器を装着し、耳鳴りを無害なものだと認識させる療法
    • 旭川医科大学 耳鼻咽喉科説明がわかりやすい
  • TCI
    • TRT 療法で用いるノイズ生成器
    • 耳掛け型・インイヤー型・カナル型があり、装着時全く目立たない
    • 購入には、だいたい耳鼻科との相談が必要
    • 調べた感じ相場は2〜6万円ほど
  • Widex Sound Generators
  • シーメンス社 iTCI SG
  • Puretone 22MA+
    • ミソフォニアを患っているAmさんという方のブログ記事より、Amさんが使用している耳掛け型のTCI
    • 購入サイトから国外からも注文でき、会計だけしてみたら約280ユーロ(3〜4万円)だった

隣人からの物音が気になり始めたら

防音グッズを漁っていろいろ試行錯誤してくうちに、今ではだいぶ落ち着いてきました。今回の件を振り返って、教訓としたこと3つです。

1) 第三者に協力してもらう

ミソフォニアでない人物に「本当にその物音は近所迷惑なほど大きいのか」判定してもらうことです。既に客観的に音を認識できなくなっているわけなので、相手が異常か・自分が異常かの判断は第三者にしてもらうべきだと思います。

私の場合だと、私自身は「圧倒的に隣人が異常だ!」と思ってしまうのですが、同居人は「一般的な生活音レベル」と言ったときに大変驚きました。でもたしかに、必要以上に騒ぐ際に出すような音(笑い声・駆け回るときのドタドタ音・音量の大きいテレビの音など)ではないのは確かなのです。ただの何かしらの物音なのです。

かと言って、そうか私が変なのかと理解できるわけもなく、いざ物音がすると「必要以上の音を出して嫌がらせをしている」と思い始めてしまうのですが... でも第三者の判定によって、人によって認識がこんなに違うのか、と目から鱗だったのは確かなのです。おかしくなっているのは私だという可能性を認識できました。でももし相手が異常そうなら、管理会社に相談するなど騒音トラブルとしての対策も優先して取るほうが良いのかなと思います。

2) 「隣人は一体何をしているのか?」を考えない

これは最も精神的に効きました。

始めは物音がする度に、何のためにこんな音を立てているのかと考えてしまいました。考え続けると、「普通に生活してたらこんな音は出るはずがないのに」などと思ってしまい、憎しみでいっぱいになります。

結局のところ壁の向こうにいるので、何をしているのかは私が考えてもわかるわけがないのです。少しでも疑問に思い始めたら、考えるのをやめて防音対策に入ります。

3) 無理に我慢をしないこと

私個人の意見としては、「我慢しないこと」を推奨します。

一度帰宅後に「今日は気分良いから防音グッズとか無しでも大丈夫っしょ」と安易に考えてなんとなく我慢していたら、数十分後には泣いて暴れて手がつけられなくなっていました。一度爆発するフェーズに入ると、防音グッズを装着したり、その場から逃げたりする発想が完全に頭から抜け落ちてしまいます。

感情が爆発すると、隣人に対する憎しみや被害感情が制御できなくなってしまいますし、体力的にも精神的にも傷が残ってしまいます。真に近所迷惑である場合を除いて、やはり異常なのも敵なのもミソフォニアであると思うべきなのです。物音がすると思ったら、自分の身を守るためにも、理性のあるうちに直ぐに防音グッズを装着・あるいは外出することにします。

私は、起床してからすぐ〜極力遅くまで出勤・通学して家にいるのを避けてます。図書館に行ったりもします。外出時には 1)のイヤホンをずっと付けることになりますが、最も馴れ親しんだ防音方法なのでそこまで苦ではありません。自分にとって最も楽な防音方法が十分に効果を発せられる状況に長く身を置く、というのも良いのかと思いました。

サイト作成の進捗

ところで、引越しの件や本業もあって、サイト作成は前回記事のときからちょっとしか進んでいません。出来上がってから公表するべきだったなあと思いました。すみません。

前記事でも一部翻訳した本「Understanding and Overcoming Misophonia」ですが、この本以外にも、他の研究者の方の論文や文書を読むと、結構いろんな説があったりします。論文だと英語が難しいので、きちんと理解できているのかわからないのですが;理想的には、いくつかの説を比較できるようになるといいなあと思ってます。いつかは。。

この本の15章で、とても印象的で感動的だった節がありました。読み返してみると、今回の隣人の件で得た教訓はこれに近いなあと感じたので、私なりに訳したものを紹介させて頂きます。

今回も細心の注意を払っているのですが、素人の翻訳なので軽い気持ちで読んでください。

ミソフォニアの受け止め方

ソース:本の15章「Management Techniques」の節「Your Attitude」

ミソフォニア患者は、おそらく誰かに「気にし過ぎだよ」と言われたことがあるだろう。このようなことを言う人は、患者自らがミソフォニアという症状を作り上げていると思っているのだ。これは大きな間違いである。ミソフォニアは患者が自らの意志で作り上げるものではない。爬虫類脳・感情脳の反応により起こる反射的なものなのだ。

85〜90%の人が気づきさえしないありふれた音が、患者にとって苦痛となってしまう。この異常事態は、音を出した人物のせいで起きるわけではない。無害な音を聞いて「攻撃された」と認識してしまう爬虫類脳のせいで起きているのだ。

例えば、足を捻挫したとしよう。一歩一歩踏み出す度に足が痛む。そのとき、自分の足を恨めしく思っても、地面に対して怒りが湧くことはないだろう。なぜなら、痛みの根源は自身の体が負った損傷のせいだとわかっているからだ。自分以外の誰かが足を痛めつけているわけでは決してないのだ。

同じことがミソフォニアにも言える。トリガーを自分以外の人物からの攻撃だと思ってしまうと、冷静ではいられなくなるだろう。「騒がしくないように歩け」「静かに息をしろ」そう思っては、他人に対する怒りが増す一方だ。攻撃されたと思って被害感情を高めずに、捻挫に当てはめて考えれば良い。傷んでも、対処すればよいのだ。2

これによってミソフォニアが良くなると言いたいわけではない。ただ、患者の受け止め方によって状況は何かしら変わりうるし、ミソフォニアの深刻さを低減する可能性もあるのだ。

まとめ

今回のまとめです。

  • 隣人の物音(重低音)が新しいトリガーとなった様子
  • 防音グッズの比較
    • 耳栓・ヘッドホンが隣人からの重低音をかき消すのに最適だった
    • 状況に合わせて、防音グッズを使い分けると良さそう
    • 耳鳴り治療器として補聴器型のノイズ生成器があるらしい
  • 隣人の物音が気になったら、ぐるぐる考えず・無理に我慢せず、すぐに防音対策をとるようにしたところ、気持ちが安定してきた
  • 本の15章一部の訳
    • ミソフォニアを捻挫と同じように捉える

最後に

コメント以外にもう一つ連絡先があると良いのかなとふと思ったので、私のメールアドレスを載せます。もし個人的にメッセージ送ってくださる方がいらっしゃれば、喜んで受け取らせて頂きます。

pb.h*ruk*m_at_gmail.com
アスタリスクを a に、_at_ を @ に変えてください)


  1. 本「Understanding and Overcoming Misophonia」では、15章「Management Techniques」の節「Using Noise: Misophonia Management Protocol」にて紹介されています。

  2. 本の15章全体で対処法を紹介しています。